人生の活力は物欲なり

物欲のままに買った物を中心としたレビューを書いています

真面目な青春映画ではあるが、真面目すぎて物足りない――「パワーレンジャー」

 「特撮」はそれなりに見ているが、現行の「キューレンジャー」の劇場版を見に行くほどではない私。

 「パワーレンジャー」も名前や成り立ちは一通り知っているが、番組自体はケーブルTVでやっているのをチラッと見た程度しか知らない。

f:id:utsuno_dcz:20170802082248j:plain

 そんな状況なので見に行くかどうか迷ったが、サブカル系の雑誌なんかでは大きく取り上げられているし、「アメリカではまずまずのヒットだったが、中国で大コケ。続編が作られるかどうかは日本の興行収入次第」という状況らしいので、夏バテ気味だが見に行ってきた。

 松山でも3館でやってるが、公開3日目の祭日なのに10人ぐらいしか入っていなかったけど大丈夫か?


『パワーレンジャー』本予告

 さて内容の方は、ところどころに日本の戦隊物のノリもあったが、基本的にはハリウッドの大作映画のフォーマットで作られている。

 前半があまりにも丁寧に登場人物の私生活を描いていて、まるで青春映画。(実際にBGMとして「あの」スタンド・バイ・ミーが使われているし)

 真面目に登場人物の背景を描写するのはいいと思うが、ヒーロー映画の「お約束」の部分をもっと多ければ単純に楽しめたと思う。

 変身のポーズもなく、見得を切った名乗りポーズもない。ただし、「あの採石場」みたいな場所で戦ったり、主題歌をBGMに駆けつける味方メカを横から撮ったアングルは、日本のファンへのサービスなのか?

 見た人の多くが抱く感想だと思うが、「変身するまでに時間がかかりすぎる」。

 この手の映画の常としてスーパーパワーを手に入れた主人公が最初に無双するシーンがあるのがお約束だが、本作では1回しか変身しないし戦うのも30分未満で、予算の問題もあるのかもしれないが、特撮ヒーロー物としては、やや物足りない。

 東映が日本のファン向けに同程度の予算で映画を作ったら、始まって15分が導入部で、次の15分で5人がそろって変身して最初の敵を倒して巨大ロボットに乗って戦って、次の15分で強い敵が出て来て戦って敗れて、次の15分でパワーアップして敵を倒して、次の30分で6人目の戦士が出て来て紆余曲折合って仲間になって、最後の30分でラスボスと最終決戦…という構成になるのではないか?

 そんな映画の方が見たかった気がする。

 なお、吹き替え版の方を見たが、勝地涼や古田新太は違和感なかったが、ピンクレンジャーの広瀬アリスの演技に違和感があったので、字幕版を見るべきだったと後悔している。