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「エイリアン:コヴェナント」感想。「エイリアン」の原点回帰

f:id:utsuno_dcz:20170920225424j:plain 「リドリー・スコットの『エイリアン』なら見ねばなるまい!」と気合いを入れて見に行った「プロメテウス」から早5年経つ。

 「エイリアンシリーズの前日譚」との前宣伝の割に、「第1作に繋がらない」と言われて、あまり高い評価を受けなかった「プロメテウス」だが、私は「異星・異文化探索物」として「ギーガーっぽいデザインと雰囲気を味わえる映画」として(剛力彩芽の吹き替えを除けば)なかなか楽しめた。

 第1作と(キャメロンが監督した)第2作を除けば、次の作品で「前作はダメだったけど今度のは凄い!」みたいな売り込み方をすることが多いエイリアンシリーズなので、「『プロメテウス』は迷走していたけど、今度の『コヴェナント』は凄い!」と雑誌とかで書かれていても、話半分で期待しすぎないようにしていた。


映画『エイリアン:コヴェナント』TVCM(オリジン編 30秒)

 前作の「プロメテウス」のラストでは、主人公のエリザベスとアンドロイドのデイビッドが、人類とエイリアンを含む生命を遺伝子操作で作り出してきた巨人型の宇宙人「エンジニア」の宇宙船に乗り込み、エンジニアの母星を目指して旅立つところで終わっていた。

 続編である今作は、圧倒的な科学力を持つエンジニアの母星が舞台で、J.P.ホーガンのSF小説「巨人たちの星」みたいな話になるのかと思っていたら、冒頭から全然違う話が始まった。

 別の惑星を目指して航行していた宇宙船コヴェナント号が、謎の惑星から「地球人の」信号を受信したことから、その惑星に向かったところ謎の宇宙船を発見し…という第1作をなぞったようなストーリーだが、この謎の宇宙船というのが、第1作以来出てくるギーガーデザインのやつで前作で主人公たちを乗せて飛び立った機体だと徐々にわかってくる。

 そこから先は、エイリアンに寄生された乗組員が次々に死んでいき、リーダーになった女性乗組員がたくましく戦い、宇宙船の密室の中での戦いでまたも乗組員が殺されて…

 まさに「原点回帰」である。

 これ以上のネタバレは避けるが、第1作にあってその後のシリーズで徐々に失われていた「エイリアンの正体不明の怖さ」を描くことに力を入れているのが印象的だった。

 ただ、前作でも気になった事だが、いくら酸素があるからと言っても、未知の惑星でヘルメットもかぶらずに普通に歩き回る乗組員は、いくら何でも不注意というか大胆過ぎる。案の定…(ネタバレ)。

 結局、諸悪の根源は「あの無機質な奴ら」って事がわかったものの、これまでのシリーズの中で最も救いのないラストだったため見終わって気持ちが重くなったが、原点に戻ったエイリアンのデザインやエンジニアの聖域(?)の不気味さを含めて、見応えはあったと思う。