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「関ヶ原」感想。司馬遼太郎小説のまっとうな映像化作品

 それなりにヒットしている「関ヶ原」。

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 原作は、個人的に司馬遼太郎の歴史小説の中で一番好きな作品であり、合戦そのものよりもそれに至る石田三成と徳川家康の駆け引きや根回しの描写にページを割いていて、戦術よりも戦略を重視する司馬遼ならではの歴史小説だと思う。

 「関ヶ原」の映像化と言えば、1981年のTBS製作のTVドラマ版が、石田三成を加藤剛、徳川家康を森繁久弥、島左近を三船敏郎、本多正信を三國連太郎…(他にも、豊臣秀吉を宇野重吉、福島正則を丹波哲郎、加藤清正を藤岡弘)等々、当時でも「奇跡のキャスティング」と言われた大作で、何度もレンタルで借りて見た。

 今回の劇場版は、そこまでの豪華キャストではないが、軍師の黒田官兵衛よりは正義感あふれる能吏が似合う岡田准一や、狸親父風の家康を上手く演じていた役所広司、武辺の人の雰囲気がぴったりの平岳大の島左近、松山ケンイチの直江兼続など、イメージに合った配役ですんなりと楽しめた。

 あの原作を2時間ちょっとにまとめるのは大変だと思っていたが、ちゃんと合戦までの陰謀戦も丁寧に描いていて、予算の関係もあったのかもしれないが関ヶ原での合戦のシーンはやや短め。

 ところどころ新解釈も交えつつ、有村架純や伊藤歩、中越典子等の女性陣のアクションも描いていて、2時間29分の長時間ではあったが、中だるみもなく最後まで見られた。